パーキンソン病と運動療法:毎日できる運動のポイント

パーキンソン病

パーキンソン病と診断された方は医師やリハビリスタッフからこんなことを言われていませんか?

「今の生活を続けるために運動を行うことが大切です」  「できるだけ毎日運動をしてください」

しかし、運動と言っても様々です。皆さんの中には具体的にはどうすればいいんだろう?と疑問や不安を抱えている人もいると思います。

また、

「私にはちょっと無理そう」

「そんな運動は毎日もできないよ」

「ほかに運動って何があるの?」

と思うのではないでしょうか?

この記事では、パーキンソン病患者さんの運動に対する上記のような不安や疑問点の解消を目的に書いていきます。

パーキンソン病における運動の重要性や運動の種類、ポイントについてご紹介し、毎日無理なく行えるような一助なれれば幸いです。

パーキンソン病に対する運動の重要性

パーキンソン病に対する効果的な治療法については大きく3つあると言われています。

その3つは

「薬物療法」 「外科的治療」 「運動療法」

です。

特に、日々の生活を送る上では、薬物療法と運動療法が重要と言われています。

この2つは自転車の両輪に例えられ、互いにうまく回ることでパーキンソン病の症状を抑えるのに有効となります。

ですので、日々薬を飲みつつ、習慣的な運動を行えることが病気の進行を予防できる対策となります。

パーキンソン病患者の動き方の特徴

パーキンソン病の方の動き方の特徴として「小さく・ゆっくり」の運動となりやすいです。

姿勢や歩き方等を思い浮かべると、何となく動きが小さくてゆっくりだなぁと思うのではないでしょうか?それは症状によるものなんです。

これは患者さん自身ではなかなか気づくことができません。

もし、近くに家族等がいらっしゃるのであれば聞いてみると良いかもしれません。

この小さく、ゆっくりとした動きが日々蓄積されていき

結果として、力を使わない省エネのような動き方となるため

筋力や全身の柔軟性の低下を招くことに繋がるのです。

運動症状(4大徴候)

パーキンソン病には

「安静時振戦」 「筋固縮(筋強剛)」 「無動・寡動(動作緩慢)」 「姿勢反射障害」

の4大徴候と言われる運動症状があります。

簡単にですが、それぞれ説明していきます。

安静時振戦

じっとしているときに手や足が震える症状です。

筋固縮(筋強剛)

筋肉がこわばり、動きがぎこちなくなる症状です。患者さん本人は手足や体を動かすのに抵抗感を感じ、動きにくさの自覚を伴います。

無動・寡動(動作緩慢)

動作が遅くなったり、動き始めるのが難しくなる症状です。また、表情が乏しくなる「仮面様顔貌」や歩く際の「小刻み歩行」が見られることもあります。

姿勢反射障害

バランスを保つ機能が低下し、転びやすくなる症状です。特に、方向転換時や坂道、誰かに押された際などに姿勢を保とうと足がすぐに出ないことが特徴となります。

運動のポイント

運動のポイント、それは...

できるだけ大きく動く

です!!

拍子抜けした方もいるかもしれませんが、これが本当に重要なんです。

では、説明していきますね!

動き方のポイント

パーキンソン病の方の運動の特徴としては、小さくゆっくりとなることを説明しました。

その積み重ねにより、筋力低下や柔軟性の低下が起こります。

さらに筋力低下や柔軟性の低下により、前かがみの姿勢になったり、バランス能力が低下して転びやすくなったりと複合的な症状も出現しやすくなります。

その予防としてまず大事なのは、小さくゆっくりとした動きから

「より大きな動き」

を意識して日々生活することが大切となります。

ただ、患者さん自身はパーキンソン病の症状によって、自分の動きが小さいと感じることが難しい状態です。

そのため、ご家族など身近な方がそれを教えてあげたり、自分の動きを動画に撮って客観的に自分自身を確認することが大事です。

そうすることで

「こんな動き方をしてたんだ」

「なんか動き方がこじんまりしているな」

などと気付くことができます。この気付きこそが重要で、自身で実感した上で日々大きな動きを意識できると効果が大幅に変わります。

大きな運動とは?

大きな運動といっても具体的に何を意識すればよいのか?についてです。

それは、手を使った動きであれば、指や手のひら、肘をしっかりと伸ばすこと

歩きであれば足を大きく上げる、前に大きく出すといったことで十分なんです。

文字を書くときでもいつもより大げさに書いてみるのもよいと思います。

これをやってみると意外と疲れたりします。ただ、それこそ普段小さく動いていることの証明になるのです!

ただ、動いている中で患者さん自身は...

「おおげさすぎないか?」「こんなに大きく動いて変じゃないか?」

などと思うことがあります。そういう場合は、

「そのくらい大きくても普通だよ」

と教えてあげてください。

そうしていくことで、少しずつ自分の動きを客観的に見ることができ、日々の生活動作から症状の進行を予防することに繋がるのです。

まとめ

今回はパーキンソン病の運動の特徴から運動の重要性、動き方のポイントについて説明しました。

病状の進行、特に運動面に関しては日々の運動によって進行を予防できることが言われています。

今回紹介した「より大きく動く」ということを、普段から意識付けるだけでも

それはもう運動療法になるのです。

少しの意識の積み重ねから病状の進行を抑制し、よりよい自分らしい生活を長くできることを願っています。

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