パーキンソン病の進行状況を見極めるためのポイント

パーキンソン病

パーキンソン病は進行がゆっくりと進む神経変性疾患で運動機能や日常生活に影響を与えます。

しかし、個人差があり、症状の進行具合や進み方は患者ごとに異なります。

そのため、進行状況を判断するには、いくつかのポイントを把握しておくと役立ちます。

ここでは、患者さんご本人やご家族が進行状況を把握しやすくするための目安についてお話ししていきますので、ぜひ参考にしてください。

日常生活の変化に注目する

パーキンソン病の進行を把握するためには

日常生活にどのような影響が出ているかを確認することが大切です。

その中で、運動症状と非運動症状の2つに分けて見ていくと整理しやすいので紹介します。

運動症状の着目点

動作の遅れ

動作が全体的に遅くなり、動き始めるのに時間がかかる場合、進行のサインと考えられます。

バランスの変化

転倒やつまずきやすさが増えることも、進行の目安の一つです。

バランスが取りにくくなったり、まっすぐ歩くことが難しくなっている場合、進行の可能性があります。

日常の作業が難しい

着替えや食事、洗顔や歯磨きなど、日常の基本的な動作が以前よりも難しく感じられる場合も進行を示す兆候です。

非運動症状の変化

パーキンソン病は運動機能に影響を与える病気として知られていますが、非運動症状も進行とともに現れることがあります。

そのため、その症状が少しずつ現れ始めたときは注意が必要です。

その症状というのはどのようなものなのか、具体的な内容についてまとめて紹介しますね。

まずはおおまかな症状の分類です。

  • 睡眠障害
  • 認知精神障害
  • 自律神経症状
  • 感覚障害・痛み

これらの症状が出ることがあります。ここからはもう少し詳しく説明します。

睡眠障害

日中仮眠

パーキンソン病と診断されてから長い経過の患者さんや男性、自律神経障害や認知機能障害のある患者で多くみられます。

突発的睡眠

眠気などの前兆にかかわらず、食事や会話中、運転中などに突発的に眠り込んでしまいます。

夜間不眠

寝入るのが難しい、途中で起きてしまう、早朝の早い時間に目が覚めるといった症状です。

レム睡眠行動障害

睡眠のレム期には体の力が抜けてリラックスできるのですが、それが障害され、夢の内容に一致した動きを実際にとってしまう症状です。

これはパーキンソン病の発症前や初期から出現しているとも指摘されています。

下肢静止不能症候群(むずむず脚症候群)

夜間の特に寝ている間に足の不快感や我慢することができないほどの動かしたい欲求を呈する症状です。

これは足を止めていると症状が強くなり、動かすことにより改善します。

認知精神障害

気分障害

うつやアパシー(無感情になったり、意欲が低下する)、アンヘドニア(快感を得にくい、喜びが得られることに対する興味の低下)、過度な不安などの症状です。

幻覚・妄想

「誰かがいたような気がした」や「ホコリが動いている虫のように見えた」などの軽い症状から始まり、より明らかな幻視や妄想へと少しずつ進行します。

行動障害

男の人では病的賭博や性欲の亢進、女の人では買いあさり、過食となって出現することが多いです。

認知機能障害

やろうと思ってもできない遂行機能障害、注意が散漫になる注意障害、空間を立体的に捉えにくくなる視空間認知障害の症状です。

また、記憶障害が出現し認知症になる場合もあります。

自立神経障害

起立性低血圧

病初期からみられることがあり、寝ているところから座ったときや立った時に血圧が急に下がりめまいや意識低下が起きる症状です。

転倒につながることもあり注意が必要です。

排尿障害

頻尿や尿意切迫、切迫性尿失禁などの症状です。

便秘

最も頻度の高い症状で、発症前や発症初期から出現していることが多いです。

感覚障害・痛み

嗅覚障害

約7~8割の患者さんに嗅覚障害がみられるとされています。

また、病気の診断以前にほぼ完成しており、多くの患者さんは自身の嗅覚低下を自覚していないそうです。

痛み

痛みは原因は人それぞれであり複数の要因が絡んでいるとされています。

多くの患者さんで服薬治療に伴う運動症状の変動に並行するかたちで出現します。

以上のところが非運動症状の詳しい内容となります。

みなさんの中で当てはまることはあったでしょうか?

非運動症状は運動症状が現れる20年も前から少しずつ出ているといったことも言われていますので、もし心当たりのある症状があれば、医師や医療機関に相談すると良いと思います。

パーキンソン病の進行ステージ

医師や医療または介護に携わる者が用いる評価基準の一つに

「ホーエン・ヤールの重症度分類」

というものがあります。

これは、パーキンソン病の進行度を1〜5段階で示すもので、一般的な目安として世界的に使われています。

この内容についてまとめますので参考にしてみてください。

ステージ1(初期):片側に症状が見られる。日常生活には大きな影響はない。

ステージ2(進行期):両側に症状が現れるが、バランスは保たれている。日常生活にやや影響が出る。

ステージ3(中期):バランスが不安定になり、転倒しやすくなる。日常生活に支援が必要な場合も増える。

ステージ4(後期):立ち上がりや歩行が困難になる。日常生活の多くに介助が必要になる。

ステージ5(末期):寝たきりになることが多く、ほぼ全介助が必要。

定期的な診察と家族のサポート

パーキンソン病は個人差が大きいです。

そのため、症状の進行も人それぞれであり定期的な診察が非常に重要となります。

医師と相談しながら、進行状況を客観的に把握することが、日常生活の質を保つためにも大切となります。

また、ご家族のサポートも非常に重要です。

患者さんが感じる困難さや気持ちに寄り添い、適切なサポートや環境の調整を行うことで、日常生活の負担が軽減されると思います。

まとめ

パーキンソン病の進行状況を把握することは、不安や心配が伴うかもしれませんが、ここまで述べてきたことを自分に当てはめて考えてみてください。

少しでも不安があるのであれば、医療機関に相談していただけると良いと思います。

早めに気づくことで適切な対策を講じることができ、進行を遅らせたり予防することもできます。

少しずつ変化に気づき、ご本人やご家族でサポートし合いながら、共に歩んでいければと思います。

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