パーキンソン病における「すくみ足」はパーキンソン病患者さんの約半数の方が経験する症状と言われています。
前に足を出そうとしても、地面に張り付いたようになり、前に進めないことや転びそうで怖いといったことに繋がり、日々の生活において不安が大きくなります。
といった疑問や不安はあるのではないでしょうか?
そこで今回はその疑問や不安を解消できるようお答えしていきたいと思います。
すくみ足とは?
すくみ足は、パーキンソン病の患者さんによくみられる症状の一つです。
前に歩いて進もうとしても、まるで地面に張り付いたかのように動かなくなる状態です。
特に、この症状が起きやすい状況が4つ挙げられます。
①歩き始め ②方向転換時 ③目的物の近く ④狭いところ
すくみ足が起きやすい状況については以下にまとめますね。
- 歩きはじめ
- 方向を変えるとき
- 狭い場所を歩くとき
- 目標物に近づいたとき(椅子に座ろうとして近づいたときなど)
- 精神的な不安があるとき(焦り、困惑、転倒恐怖心)
- オフの体調で動きにくさがあるとき
なぜすくみ足が起こるのか?
すくみ足は、パーキンソン病による脳の運動調整機能の低下が原因です。
パーキンソン病では、脳内のドーパミンが不足し、筋肉の動きやバランスをうまくコントロールできなくなります。
その結果、体は歩こうとするのに、脳が正しい指示を出せずに足が止まってしまうのです。
すくみ足への対策
すくみ足の対処としては、歩き方の工夫や外的キューの利用が効果的と言われています。
この外的キューとは、音や視覚による刺激入力のことです。
そのため、自身の声で1,2と声掛けをしたり、レーザーで足元に目印が表示される杖や歩行器などもあり、それを使用することですくみ足が緩和され歩きやすくなるといったことです。
歩き方を工夫する
足を高く持ち上げる・左右の体重移動を行う
足が動かないと感じたら、あえて足を大きく上げるように意識して歩いたり、左右の足への体重移動を繰り返してから歩き出すなどをすると、すくみ足を回避しやすくなります。
リズムをつけて歩く
リズムを取りながら歩くことで、足の動きがスムーズになります。メトロノームや音楽、または自分の声でリズムを作ることが有効です。
補助具の利用
歩く際の安心感もすくみ足対策としては重要な項目の一つです。
そのため、歩くことを助ける杖や歩行器などの歩行補助具を使うことで、歩行時の安定感が得られ、歩く際の安心感が得られます。
また、レーザーや音声でタイミングを示す補助器具も利用できます。
周囲の環境を整える
家具の配置
転倒のリスクを減らし少しでも安心感を得ながら歩けるようにすることが大切です。
具体的には家具の配置を広くする、障害物を取り除くことです。
また、方向転換時にすくみ足が頻繁に出現する方は、足を踏み込む箇所にマーキングをすることも一つの手段として挙げられます。
歩いての移動時はそのマーキングした箇所を踏むようにして移動することで、すくみ足を抑えながら移動することができるようになります。
床のすべり止め
すべりやすい床や段差は転倒の原因となるため、滑り止めマットを敷くなどの対策も必要です。
医師や理学療法士との相談
すくみ足の症状は、薬物療法やリハビリテーションで改善が期待できる場合もあります。
定期的な診察や、理学療法士と一緒に歩行練習を行うことで、症状の進行を防ぐサポートが受けられます。
ご家族のサポート
患者さんがすくみ足で困っている際、ご家族が焦らず冷静に対応することが重要です。
患者さんを急かさず、ゆっくり歩くペースに合わせたり、環境を整えることで、安心して日常生活を送るサポートができます。
まとめ
すくみ足はパーキンソン病のつらい症状の一つですが、理解と適切な対策を講じることで、転倒リスクを減らし、より安全な日常生活を送ることが可能です。